■財政投融資制度

国の制度・信用を通じて集めた資金を、国の政策的要請に基づき運営する制度のこと。 一般に市場経済が社会に浸透するに連れ、市場経済による社会の分裂を防ぎつつ、市場経済を補完し、有効に作用させるための国の機能的な役割が拡大する。このうち、国の強制力を源泉とした、反対給付を伴わない租税によって直接に担われる領域が狭義の財政となる。しかし、本来租税の徴収は、経済的な原則に反した強制的なものであり、一般的に合意の調達は困難である。一方、強制力を伴う租税徴収権によって、国には他の経済主体に比べて高い信用力が生じる。この信用を利用して、国の政策目的に沿って行われる投資・融資及び与信・受信などを通じる金融的政策手段の体系を、一般に財政投融資と呼ぶ。 財政投融資は先進国、途上国を問わず世界各国で行われているが、各国毎に国の信用の在り方、集め方の手続き(制度)が異なる。こうした各国毎の財政投融資を行う手続き(制度)の体系を財政投融資制度と呼ぶ。日本の場合は現在のところ財政融資資金特別会計が財政投融資制度の中核を担っている。
財政融資資金特別会計の資金(原資)の区分としては、原資の性格から
@預託(国庫や国の特別会計等の積立金、余裕金、剰余金などが預託されるもの)
A財投債(国の信用を通じて市場に債券を発行するもの)
B産業投資特別会計(一般会計から投入され、出資及び貸出利子の軽減に使われるもの)
C政府保証債(財投機関が発行する、政府の債務保証が付いた債券)
の四つに分かたれる。これとは別に、財投機関が独自に発行する財投機関債も、財政投融資計画の「自己資金等」の欄に記載される。
集められた資金は、法律(財政融資資金法第五条)に基づき、
@一般会計(短期、長期の国債の買入)、A特別会計(融資会計及び事業会計への貸付)
B政府関係機関及び財投機関(特殊法人及び独立行政法人への出資、融資及び政府保証)
C地方公共団体(一般会計債等及び公営企業債の買入及び直接貸付)、
D外国債(外国政府、国際機関及び特殊法人の発行する債券)、E政令で規定する法人
への融資が認められている。
この中の@、A、B、Cのうち、運用の期間が5年を超えるものについては、財政の機能である資源配分機能、経済安定化機能を持つものとされ、法律(「財政融資資金の長期運用に対する特別措置に関する法律」)により、国会の議決が必要となる。このうちA、B、Cを纏めたものが財政投融資計画となっている。


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