■IMFコンディショナリティー(Conditionality)

IMFによる融資を受ける場合、当該国政府はIMFとの協議をへて決定される特定の経済・財務政策の遂行を約束しなければならない。これがコンディショナリティーといわれる制約条件である。コンディショナリティーは、貸付金が借入国の経済問題を解決するために使用されること、また融資を必要としている他の国にも資金が巡るように迅速な返済が行われることを保証している。
おおむね1980年代初頭まで、IMFコンディショナリティーは基本的なマクロ経済政策に関する内容が主であった。しかし1980年代に顕在化した累積債務危機では、発展途上国における国内産業保護政策や公企業の非効率、金融市場に対する規制といった諸問題に焦点が当てられ、IMFコンディショナリティーもそれらの改善を含めた包括的な市場志向型の改革(構造調整政策、Structural Adjustment Policy)に発展することとなった。
さらに1990年代にいたり、アジアやロシア等における通貨危機をへて、IMFコンディショナリティーは民主化や汚職の撲滅、あるいは金融機関の経営透明化など、公共部門・民間部門を通じた「ガバナンス」の強化に踏み込むものとなっていった。これにより、IMFコンディショナリティーは目先の国際収支改善や財政赤字縮小といった目標のみでなく、より持続的・長期的な経済の安定化を目的とするものに変化している。
しかし、そのことが必然的に、発展途上国における財政・金融政策の自律性を阻害するばかりか、政治構造をはじめとする内政問題に対する、IMFの影響力を強める結果をもたらしていることには、留意する必要がある。
(参考:「IMFコンディショナリティー」
http://www.imf.org/external/np/exr/facts/jpn/conditioj.htm)


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